「簡単なツール」という評価
kintoneは「簡単なツール」だと言われることが多い。
ローコード/ノーコード。
ドラッグ&ドロップで画面が作れる。
確かにその通りだと思う。
プログラムを一から書く必要はないし、
Excelの代替として使うのであれば、
むしろExcelよりも分かりやすく、誰でも使える。
ルックアップや関連レコード一覧を少し触れば、
業務はかなり楽になる。
だから「簡単」という評価自体を、
私は否定するつもりはない。
ただ、
「簡単だから雑に扱っていい」
その空気を感じるときに、強い違和感を覚える。
「簡単」に見える理由
kintoneが簡単に見えるのは、
難しい部分を、ツールの中にきちんと隠してくれているからだ。
本気で使おうとすれば、
必ずデータベース設計に行き着く。
この業務では、どの情報が必要なのか。
どこで使うデータなのか。
別の業務とどうつながるのか。
「あっちでこう使うから、このデータはここ」
「向こうで集計するから、この項目はこう持つ」
そんな判断の積み重ねがなければ、
kintoneは“ただの入力フォーム”で終わってしまう。
それらすべてを内包した結果として、
kintoneは「簡単に触れる」ように設計されている。
だからこそ、
全体まで簡単だと誤解されやすいのだと思う。
誰でも使えるのか?
「kintoneは誰でも使えるツールですか?」
と聞かれたら、私はこう答える。
条件付きで、Yes。
Excelの代替として、
情報を入力して、一覧で見て、
ちょっと検索する。
そのレベルであれば、誰でも使える。
業務システムとして使う難しさ
ただし、
業務をシステムとして成立させようとした瞬間、話は変わる。
業務の棚卸し。
プロセスの分解。
データの意味付け。
将来の拡張や、運用後の姿。
考えることは、一気に増える。
それはもう「簡単」と一言で片付けられる世界ではない。
よくある誤解
実際、
「簡単に作れるツールだから」と言われて投げられてくる仕様が、
とんでもなく複雑な構成だった、という経験は少なくない。
それを見て「これは難しい」と答えた瞬間、
なぜかkintone自体の評価が下がってしまう。
それは、
ツールが簡単なのではなく、
見積もりが軽すぎただけだ。
また、
毎年ほぼ同じ内容の申請フォームを、
アプリごとコピーして使い捨てているケースを見ることもある。
過去データは活かされず、
分析もされない。
それはkintoneの限界ではない。
「どう使うか」を考えなかった結果だ。
入口は広く、出口は高い
kintoneは、
入口はとても広い。
でも、出口は決して簡単ではない。
導入障壁が低い分、
目に見える効果を出そうとすれば、
それなりの高さを目指す必要がある。
雑に扱えば、雑な結果しか返ってこない。
軽く扱っていいツールではない
それでも私は、
kintoneが「誰でも使える」と言われる世界を、
否定したいわけではない。
ただ一つ、
その“簡単さ”が、どこまでを指しているのか。
そこだけは、きちんと共有されるべきだと思っている。
kintoneは、
簡単に始められる。
だが、
軽く扱っていいツールではない。
その認識があるかどうかで、
kintoneは「便利な道具」にもなるし、
「業務を支える基盤」にもなる。
どこまでを目指すのか。
その選択が、最初から問われているツールなのだと思う。